2012年5月13日日曜日

連邦政府


連邦政府

首都ワシントンにある連邦議会議事堂は、長い間、米国の代議政治を象徴する存在となってきた。上院と下院の二つの議院に分かれており、新しい法律が効力を持つためには両院が合意する必要がある。

連邦政府は3つの別個の部門、すなわち立法府、行政府、司法府から成り、各々が明確に定められた憲法上の権限と責任を有している。

連邦政府の立法府は、二つの議院から成る連邦議会である。連邦上院と連邦下院である。法案は、両院を通過しなければならない。その後で大統領に送付され、その署名により成立する。

法案が法律になるまで

毎年、何千件もの法案が連邦議会に提出されるが、成立するのは数百件に過ぎない。法案が起草され、最終的に大統領の署名により法律となるまでの大まかな流れを以下に示す。

1、法案が作成される。上院議員または下院議員が法案を起草する場合もあれば、業界団体や一般市民が法案の作成を要請し、その起草を手伝う場合もある。ただし、実際に法案を提出できるのは上院議員または下院議員のみである。法案を書き上げると、その起草者は、自分の主張に重みを加えるため、共同提出者となる議員を集める。

2、法案が上下両院、あるいはそのどちらかに提出される。法案には番号がつけられ、法案の名前と提出者が連邦議会議事録に記載される。

3、上院および下院のパーラメンタリアン(議会運営手続きの専門員)が、法案を、適切な権限を有する委員会に付託する。その委員会の委員長は、最もふさわしい小委員会に法案を付託する。特筆すべき点は、付託された法案をどう審議するかに関して、委員長と小委員長が大きな権限を持つことである。この二人は、法案に反対であれば、何もしないことが可能である。

4、小委員会は法案に関する公聴会を開催し、公共部門や民間の証人に証言させることができる。証人は、行政府職員、専門家、業界団体・労働組合・学界・公益団体・経済界の関係当事者などである。個人が証言を行ったり、意見書を提出したり、利益団体に意見を代弁させたりして、自らの見解を明らかにする場合もある。

5、公聴会が終了すると、小委員会は会議を開いて法案の「マークアップ(仕上げ)」を行う。マークアップとは、作成された法案に対する修正を提案・検討する作業である。マークアップに続いて、本委員会に賛成の報告を行うべきか否かについての採決を行う。賛成の報告が行われない場合、法案は廃案となる。

6、委員会では、小委員会と同じ手続き(公聴会、マークアップ、採決)のうちの一部、または全てが行われることもある。委員会が法案に賛成した場合には、下院本会議または上院本会議(いずれか審議を行う方)に法案を報告することが決定される。

7、法案が下院本会議または上院本会議まで進むと、下院または上院の全議員で審議する。この段階で、法案は①さらに修正される②委員会へ再び付託される③あるいは採決が行われる―の三つのケースがある。

8、下院または上院で可決されると、法案は他方の議院に付託される。下院で可決された法案は、下院の小委員会や委員会での審査を行わずに、直接、上院の議事日程表に掲載される場合もある。しかし通常は、両院とも、小委員会と委員会が公聴会を開催し、法案を修正する機会がある。関連する法案や同じような法案については、下院と上院での審議が、しばしば同時に行われる。


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9、同一の文面で下院と上院を通過した場合、法案は大統領に送付される。下院と上院で法案の文面に相違がある場合には、これを解消するため、上院議長と下院議長によって両院協議会が任命される。協議会で合意に達することができなければ、法案は廃案となる。合意に達した場合は、法案は両院に差し戻される。両院は、法案にそれ以上の修正を加えず、そのまま採決しなければならない。

両院協議会で合意した法案が両院で可決された場合には、署名を得るために大統領に送付される。大統領には4つの選択肢がある。①法案に署名して法律にする② 連邦議会の開会中に何の行動も取らない。この場合、10日が経過するとその法案は法律となる③連邦議会が休会中に何の行動も取らない。この場合、法案は廃案となる④法案に拒否権を行使する。

大統領が法案を拒否した場合、連邦議会は大統領の拒否権を覆すことを試みることができる。拒否権を覆すには、上下両院で3分の2以上の賛成が必要となる。いずれかの議院で3分の2の賛成が得られなければ法案は廃案となり、両院とも3分の2に届けば法案は成立する。

法律制定に加え、連邦議会の最も重要な活動の一つとなっているのが、行政府の監視である。連邦議会は、行政府に法律を誠実に履行させるため、行政府の業務や活動を調査するための公聴会を開催することができる。

上院(Senate)

  • 「Upper Chamber(上位の議院)」 と見なされ、下院よりも審議機能が高いと考えられている。
  • 100人(各州から2人)の上院議員で構成される。
  • 上院議員の任期は6年で、務める任期の数に制限はない。
  • 選出の便宜のため、上院議員は3つのグループに分けられ、1つのグループが2年ごとに改選される。この仕組みにより、経験のある現職議員が常に確保されるようになっている。
  • 上院議員に欠員が生じた場合には、通常、欠員の出た州の知事の任命によって補充される。
  • 副大統領が上院議長を務め、可否同数の場合のみ票を投じる。
  • 下院と同じ広範な立法権を有するが、上院のみに付与されている権限もある。すなわち、 連邦最高裁判所と連邦下級裁判所、行政府の主要な役職の大統領による指名人事は、被指名者の就任に先立って上院が承認を与えなければならない。
  • 上院は、大統領が取り決めた国際条約を可決または否決する。
  • 大統領または連邦最高裁判所裁判官が弾劾訴追された場合には、上院本会議が弾劾裁判を行い、陪審として機能する。
実際には、可否同数となる事例はほとんどなく、副大統領が上院議長職を務めるのはごく限られた場合だけである。副大統領の不在時には、上院は、日々の議事進行を主宰する議長を上院議員の中から選出する。

下院(House of Representatives)

1989年1月、連邦議会議事堂の下院会議場で就任宣誓を行う下院議員たち

1989年1月、連邦議会議事堂の下院会議場で就任宣誓を行う下院議員たち


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  • 「House of the People(人民の議院)」 と見なされる。
  • 435人の下院議員で構成され、議席数は人口に応じて各州に割り振られる。5つの準州と属領、すなわちコロンビア特別区(首都)、米領サモア、グアム、プエルトリコ、米領バージン諸島からも、投票権のない代表者が選出される。
  • 下院議員の任期は全員2年で、任期の数に制限はなく、全員が同時期に選出される。
  • 各議員は、下院選挙区と呼ばれる州内の特定区域から、1人ずつ議員が選出される。
  • 下院議員に欠員が生じた場合には、補欠選挙または総選挙によってのみ補充される。
  • 下院議員は下院議長を選出する。下院議長は下院の統括者であり、実際には多数党に所属する。

院と共有することなく下院だけに付与されている特別な権限および責任として、以下に示すものが含まれる。

  • 大統領と連邦最高裁判所裁判官に対する弾劾訴追を行う権限。
  • 歳入の徴収に関する全ての法案は、まず下院に提出されなければならない。
  • いずれの大統領候補者も選挙人票の過半数を獲得しなかった場合、下院が大統領を選出する。この場合、各州の議員団はそれぞれ1票を有する。

行政府は、連邦政府の中でも突出して大きな部門である。行政府の長は大統領で、その任期は4年である。副大統領も大統領と一緒に選出され、大統領が死亡した場合、執務不能となった場合、または弾劾裁判で有罪となり免職された場合、副大統領は大統領職を継承する順位で第一位となっている。

行政府は他の2つの施政部門と同等の権限を分かち合っているが、大統領は、政府の中で最も大きな権力を持つ1個人である。大統領の権限および役割には、以下に示すようなものがある。

2004年11月、閣議を主宰するブッシュ大統領

  • 連邦最高裁判所と連邦下級裁判所の裁判官を任命する。ただし、いずれも上院の承認を必要とする。
  • 各省の長官とその他の政府機関の長から成る内閣を任命する。ただし、上院の承認を必要とする。
  • 軍の最高司令官としての役割を果たす。
  • 名目上の国家元首としての役割を果たす。
  • 国際条約およびインディアン部族との条約を締結する。ただし、いずれも上院の承認を必要とする。
  • 連邦議会で可決された法案に対して拒否権を行使する。
  • (弾劾の場合を除き)連邦犯罪に対する恩赦および刑の執行猶予を与える。

上記の憲法上の権限以外にも、実質的に大統領は、非公式の権限や憲法で明確に規定されていない権限を持つ。まず何よりも、大統領は大統領命令を発することができる。これは法的拘束力を持つ命令であり、一般に、以下のような目的で行使される。

  • 大統領の政治課題を推進・実行するために、新たなプログラムや職責、委員会を設立する。
  • 連邦議会で可決された法律の施行方法に影響を及ぼす政策を立案する。
  • 連邦政府職員の休日を宣言する。
大統領命令は、大統領が政策目標を達成するための強力な道具となり得るもので、この権限は連邦最高裁判所によって支持されてきた。個々の大統領命令は、連邦議会での法律制

定によって覆したり修正したりできるが、法案が議会を通過しても、大統領が署名しなければ発効しない。ただし、大統領の拒否権が議会で覆された場合は例外である。また、大統領命令が憲法に違反するか、または現行法に抵触すると考えられる場合には、法廷で異議を申し立てることができる。


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最後に、大統領は自らの所属する政党の党首を務め、大統領の地位と注目度を利用して、一般国民や党員に対して政治的見解を明確にしたり、政治的目標を推進したりできる。

行政府の省庁

大統領と副大統領の下には15の省とその他多数の機関が置かれ、我々が毎日目にしている「政府」を構成している。これらの機関は、法律の管理・執行や種々の行政サービスの提供を担っている。その機能は広範にわたっており、全ての米国民の生活に影響を及ぼしている。

大統領職の継承順位

国土安全保障省は最も新しく設立された閣僚級の省である。省の設立日は重要な意味を持つ。なぜなら、大統領が死亡したり執務不能となったりした場合には、大統領職は副大統領に継承され、副大統領が大統領職を務めることができない場合には、以下の順位で継承されるからである。

  • 下院議長
  • 上院議長代行
  • 省の長官―通常は、国務長官を第一位とし、以下、省の設立順に継承される。

15の省は以下に示すとおりである。

  • 農務省(USDA)
  • 商務省(DOC)
  • 国防総省(DOD)
  • 教育省(ED)
  • エネルギー省(DOE)
  • 保健福祉省(HHS)
  • 国土安全保障省(DHS)
  • 住宅都市開発省(HUD)
  • 内務省(DOI)
  • 司法省(DOJ)
  • 労働省(DOL)
  • 国務省(DOS)
  • 運輸省(DOT)
  • 財務省
  • 復員軍人省(VA)

各省を率いる長官は、大統領によって任命されるが、上院の承認を必要とする。各省の長官は法律により大統領内閣を組織する。大統領内閣は、自らの責務に関連するあらゆる問題について大統領に助言する一団である。大統領は、行政府のその他の最高幹部にも閣僚レベルの地位を付与することができる。通常、この中には副大統領、大統領首席補佐官、行政管理予算局長、通商代表が含まれる。そのほか、現在または近年、閣僚レベルとされている役職に、環境保護局長官、中央情報局長官、国家安全保障担当大統領補佐官がある。

各省に加えて、多数の独立した局や委員会などが行政府を構成しており、中には非常に大きな機関もある。例として、米国郵政公社、環境保護局、航空宇宙局(NASA)などが挙げられる。

規制機関は特に大きな影響力を持っている。規制機関は、経済の特定の側面を管理する規則を策定・施行する権限を議会から付与されており、専門的で複雑な問題を扱うことが多い。主な規制機関を以下に示す。

  • 証券取引委員会(SEC)
  • 連邦取引委員会(FTC)
  • 原子力規制委員会(NRC)
  • (保健福祉省の)食品医薬品局(FDA)
  • 連邦通信委員会(FCC)
  • 環境保護局(EPA)
  • 雇用機会均等委員会(EEOC)
  • (労働省の)職業安全衛生管理局(OSHA)

上記の機関は、その他の規制機関とともに、ほぼ全ての企業や消費者に影響を与える規則を制定している。委員会の委員と各機関の長官の任命は大統領が行い、上院の承認を必要とする。規制機関が策定する規則は法的拘束力を持つが、規則に対して法廷で異議を申し立てることや、規則を議会で覆すことが可能である。


独立機関の中でも最も独立性が高いのは、米国の中央銀行に相当し、「Fed(Federal Reserve Board)」とも呼ばれる連邦準備制度である。連邦準備制度理事会は、米国の金融政策の策定、金利の設定、通貨供給量の決定を担っている。連邦準備制度の決定は、米国の経済、金利、インフレ、雇用創出、国際貿易に広範な影響を及ぼす。事実、多くの人々が、連邦準備制度理事会議長を、大統領に次ぐ権力者と考えている。

司法府は、連邦法に異議を申し立てる訴訟や連邦法の解釈を必要とする訴訟の判決を下し、被告人が連邦法違反の罪に問われている刑事事件を審理する。また、連邦裁判所は、州法の憲法上の根拠が問われる場合の上訴管轄権、および2州以上がかかわる訴訟、2州以上の市民がかかわる訴訟、あるいは外国人がかかわる訴訟に対する司法権を有する。

米国の最上級の裁判所を擁する首都ワシントンの連邦最高裁判所の建物。連邦最高裁の9人の裁判官は、米国の法的問題や憲法問題を解釈する重要な役割を果たす

司法府は連邦最高裁判所と連邦下級裁判所で構成される。下級裁判所には、控訴裁判所(巡回裁判所、上訴裁判所とも呼ばれる)、連邦地方裁判所、破産裁判所、請求裁判所などがある。連邦裁判所は、州裁判所からの民事・刑事双方の上訴事件を審理する。連邦裁判所の第一審管轄権は、特許権、商標権、連邦政府に対する請求、破産、証券、海事法、国際的請求に関連する訴訟に適用される。

施政府の別個の部門として、司法府は他の2つの部門から独立しており、合衆国憲法に定められた抑制と均衡にのみ制約される。司法府の独立性は、全ての国民に公正と平等を保障する上で不可欠であると考えられている。憲法は、主に2つの方法によって、司法府の独立性を高めている。第1に、連邦裁判官は終身制であり、免職されるのは、「反逆罪、収賄罪またはその他の重罪および軽罪」によって連邦議会に弾劾され、有罪の判決を受けた場合のみである。第2に、憲法は、連邦裁判官の報酬の額は「在職中に減らされることはない」と定めているため、大統領も連邦議会も連邦裁判官の報酬を削減することはできない。この2つの方法で司法府が保護されているため、大衆の感情や政治的影響力に左右されずに、独立して判決� ��下すことが可能になっている。

合衆国憲法の起草者たちは、司法府が政治的圧力や世論による影響を受けない部門となることを想定していたが、裁判官選出の過程は極めて政治的なものとなっている。連邦最高裁判所と連邦下級裁判所の裁判官は、大統領の指名を受け、上院の承認を得て初めて就任できる。

現在、連邦最高裁の裁判官は9人で、その数は法律で定められている。連邦下級裁判所については、その管轄権、裁判官の人数、予算を含め、連邦議会が定める。全ての連邦裁判官は、その終身職に就くため、上院の承認を得なければならない。ただし、連邦議会の閉会中は、一時的にその職に就く裁判官を大統領が任命できる。保釈金の決定、令状の発行、軽犯罪の審理などを行う連邦治安判事は、連邦地方裁判所の裁判官によって任命され、その任期は8年である。



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